ライティング案件で多くのクライアントに通用する文章の書き方とは?
2020年4月12日
クラウドソーシングサービスでライティング業務を受注すると、クライアントから記事の書き方についての指示があります。そのほとんどはSEO的な戦略から考えられたものです。
SEO的に良い記事を書く方法はネット上に溢れているため、SEO対策や構成の能力に長けたライターは山ほどいます。しかし、いくら検索エンジンで上位に表示される記事を作っても、読みにくければ読者は離れていきます。そもそも、読みやすい文章とはどういうものなのでしょうか。
ウェブライターとしての能力を高めるためには、文章の質自体を高めることが大切です。そこで今回は、より多くのクライアントに通用する文章を書くコツを詳しく解説していきます。
ウェブライティングの業務をスムーズにこなすために、まずはとにかく経験を積んでいきましょう。そのために、ライターとして成長するための基本的な事柄や、避けるべき注意点などを知っておくことが大切です。
誤字や脱字が少ないことを自慢とするライターは少なくありません。本来、ライターは『文字』を扱う仕事なので、文字の使い方に人一倍こだわりがあるべきです……とは言えないのが実状です。
プロのライターが書いたニュースサイトなどを見ていると、素人でも分かるような間違いのある文章が散見されます。言い換えれば、きちんとした文章が書けることはアピールポイントになるということなのです。
どれだけ文法の知識や語彙があっても、読みやすい文章を書くコツを知らなければ宝の持ち腐れです。誰でもすぐに理解できる記事を書けるようになり、ステップアップを目指しましょう。
私たちは文章を読みながら同時に意味を理解しようとするので、あまり文章が長すぎるとすぐに理解できなくなってしまいますが、ひとつの文章を短く簡潔にするために、ひとつの主語と述語のまとまりで文章を区切るようにすると、一回読んだだけですぐに理解できるようになります。
この文章は一文が130文字近いので、何を言いたいのかすぐに理解できません。次のように改めると良いでしょう。
私たちは文章を読みながら同時に意味を理解しようとするので、あまり文章が長すぎるとすぐに理解できません。ひとつの文章を短く簡潔にするために、ひとつの主語と述語のまとまりで文章を区切るようにしましょう。こうすることで、一回読んだだけですぐに理解できるようになります。
後述しますが、あまり一文を短くしすぎると今度は接続詞が増えて、逆に稚拙な印象を与えてしまいかねません。一文あたり50文字以内を目安にするくらいに考えておくと良いでしょう。
日本語には西洋語のスペースのような単語ごとに区切る文字がないので時としてどこまでが一つのまとまりなのか分かりにくくなったり意味を理解しづらくなったりしますが句点を効果的に使用すると改善することができます。
句点が全くないので、呪文のように意味不明になっています。この文章は次のように改めましょう。
日本語には、西洋語のスペースのような単語ごとに区切る文字がないので、時としてどこまでが一つのまとまりなのか分かりにくくなったり、意味を理解しづらくなったりしますが、句点を効果的に使用すると改善することができます。
たとえ句点で区切ったとしても、一文が長すぎるのでまだ読みにくいです。句点に頼るのではなく、まずは読点でしっかり文章を区切りましょう。
接続詞は前の文章を受けて次の文章へ続けるための言葉です。ところで、先ほどの項目で、ひとつの文章は短くする方が良いと述べました。そのため、接続詞をしっかり使う必要があると感じるかもしれません。しかし、接続詞はそれほど多用しなくても構いません。なぜなら、接続詞がなくても意味が通じる場合が多いからです。
一文を短くして簡潔にしてありますが、その副作用としてやたらと接続詞が多い文章になっています。不要な接続詞を除去して、次のように改めましょう。
接続詞は前の文章を受けて次の文章へ続けるための言葉です。先ほどの項目でひとつの文章は短くする方が良いと述べたので、接続詞をしっかり使う必要があると感じるかもしれません。しかし、接続詞はそれほど多用しなくても構いません。接続詞がなくても意味が通じる場合が多いからです。
ひとつの文章が多少長くなることを許容するのか、接続詞で繋ぐことを選ぶのか、実際には段落全体のまとまりを考えた上で判断すべきです。上記の例では、「そのため」の部分はひとつの文章にまとめてあります。
余計な接続詞を除くと文章が読みやすくなります。ただし、次のような場合は接続詞の有無で解釈が異なるので注意が必要です。
(1)山手線で人身事故があった。京浜東北線が遅延している。
(2)山手線で人身事故があった。そのため、京浜東北線が遅延している。
(1)の例では、山手線と京浜東北線の間には因果関係がないように見えます。しかし、筆者の意図は(2)のように「山手線の事故の影響で京浜東北線も遅延している」ということです。
このように、接続詞を安易に抜くと解釈が異なってしまうことがあります。先ほどの例で接続詞を使いたくない場合は、次のように書くと良いでしょう。
山手線で人身事故があったので、京浜東北線が遅延している。
ライティング業務をクライアントから受注したときは、必ずユーザーが読みやすい文章を意識して、常によく推敲と考察を重ねて文章を書くことが大切です。婉曲的な表現や晦渋な言葉があると、ユーザーが嫌な気分になって記事を読んでもらえなくなってしまうかもしれません。
この文章は特に問題がないように思えるかもしれませんが、余計な表現が多すぎて分かりにくいです。また、「~かもしれない」や「~だと思う」のような曖昧な表現は、記事の信頼性を下げるので避けるべきです。次のように改善しましょう。
ライティング業務では、常にユーザーが読みやすい文章を書くことが大切です。回りくどい表現や分かりにくい言葉があると、ユーザーはすぐに記事から離れてしまいます。
回りくどい文章は、クライアントから『文字数稼ぎ』と判断されることもあります。「~することができる」「~できるようになる」「~になってしまう」という表現は冗長になりやすいので、使いすぎに注意しましょう。
https://crowdsourcingnavi.com/writing/words
今回ご紹介したポイントをマスターすることにより、よりライターとして成長できます。
「より」という単語が続いて使用されているため、稚拙な印象を与えてしまいます。別の語句に置き換えてレベルの高い文章にしてみましょう。
今回ご紹介したポイントをマスターすることで、さらにライターとして成長できます。
文章の終わり方にも気を配ってみましょう。「~です」ばかりで終わる文ばかり続けると単調になります。「~ます」「~でしょう」などのバリエーションをもたせるとテンポが良くなります。
「!(感嘆符)」と「?(疑問符)」は、原則として使わないようにしましょう。特に、「~ですか」「~でしょうか」のように読者に質問するときの疑問符は注意が必要です。人によっては押しつけがましさを感じることがあるからです。
また、箇条書きで説明するときに丸囲み数字を使ってはいけません。Windows以外の環境で文字化けすることが多いからです。次のような文字はよく使われる『環境依存文字』なので、別の文字に置き換えるようにしましょう。
文筆業界では『開き』と『閉じ』と言う言葉がよくつかわれます。或る言葉を平仮名で表記する事を開く、漢字で表記する事を閉じると表現します。単純な事の様に感じるかも知れませんが、じつは奥の深い問題なので注意が必要です。
上記の文章のどこがおかしいのかは、人によって大いに意見が異なります。日本語は漢字仮名交じりで表記するため、どうしても表記上の問題が生じます。一般的には、次のように改めると良好だと考えられています。
文筆業界では『開き』と『閉じ』という言葉がよく使われます。ある言葉を平仮名で表記することを開く、漢字で表記することを閉じると表現します。単純なことのように感じるかもしれませんが、実は奥の深い問題なので注意が必要です。
漢字で表現する閉じに関しては、パソコンやワープロなどで変換できるので簡単です。問題はどの言葉を平仮名にするかということです。ウェブライティングに限らず、文章を書くときは次のような言葉は開く方が望ましいです。
ただし、「達」「事」「時」は場合によっては閉じる方が良いので注意が必要です。「達」は「友達」という言葉以外は全て開きます。例えば、「私たち」や「あなたたち」のように、「たち」は平仮名にしましょう。
「事」と「時」は開きと閉じの使い分けが厄介な言葉です。なぜなら、これらの言葉は基本的には開くべきですが、具体的な時間や出来事を指すときは閉じるべきだからです。
(1)困ったときは必ず相談することを心掛けてください。
(2)あの時に事故が起こった。その事が彼を変えてしまった。
(1)では「こまったとき」や「相談すること」はあくまで抽象的な表現で、具体的な時間や出来事を指しているわけではありません。いずれも「困る」や「相談する」という動詞を名詞化しているだけです。こういった名詞を『形式名詞』と呼びますが、形式名詞は開きましょう。
(2)では「あの時」や「その事」は具体的な時間や出来事を指しています。このように実質的な意味を示す名詞を『実質名詞』と呼び、実質名詞は閉じるのが好ましいです。実質名詞は次のように具体的な表現で置き換えることができます。
2000年1月1日に事故が起こった。その事故が彼を変えてしまった。
前述した「開き」と「閉じ」に付随する問題ですが、ひとつの文章内では表記は統一することがポイントです。平仮名と漢字のどちらを使うのかといった最終的な判断は、ライターの感性に委ねられているからです。
例えば、「全て」や「最も」という言葉を開くのかについては、ライターの間でも意見が割れています。大切なことは、一度「全て」と閉じたのなら、それ以降に開いてはいけないということです。常に表記の統一を心掛けましょう。
日本語には単語ごとの区切り文字がないので、どこまでがひとつの単語なのかは読者が判断する必要があります。次の文章の意味を一瞬で理解するのは、意外と難しいのではないでしょうか。
「結局出社出来なかった」
この文章が分かりにくいのは、「結局」「出社」「出来」という単語が漢字ばかりで並んでいるからです。次のように置き換えると、文章の意味をすぐに理解できるようになります。
「結局、出社できなかった」
「結局のところ出社できなかった」
また、漢字が並ばないように開いたときに、表記の統一に問題が生じることがあります。
「多分風邪を引いた」
「たぶん風邪を引いた」と表現することはできますが、他のところで「多分」と閉じているときは表記を統一できません。そこで、「多分」という副詞を「おそらく」に置き換えてみましょう。
「おそらく風邪を引いた」
もっとも、ここまでハイレベルな構成を行っても、大抵のクライアントには評価されません。もはや自己満足のレベルになるので、神経質になる必要はないでしょう。
ライティング業務では『敬体』で文章を書くのが基本です。しかし、読者に対して丁寧な文章を意識しすぎるあまり、敬語表現が過剰になってしまうことがあります。
私たちライターは、クライアント様の意向に添う文章を書くことが求められております。クライアント様から高い評価を頂けるように、質の高い文章を書けるようにしていただきたいです。
この文章には至る所で敬語が使われています。読者に対して過剰に丁寧な表現をすると、読者が窮屈に感じてしまいます。また、読者として想定されていない対象(上記の例ではクライアント)に対する敬語は全く必要ありません。次のように改めましょう。
私たちライターは、クライアントの意向に添う文章を書くことが求められます。クライアントから高い評価を得られるように、質の高い文章を書けるようにしましょう。
ウェブライティングにおいて、差別的な表現や避けるのは当然です。しかし、私たちは時として『意図しない差別的表現』をしてしまうことがあります。
例えば、「ビジネスマン」には「マン(男)」という言葉が含まれているので、あたかもビジネスは男だけのものだという印象を与えることがあります。男女同権の意識が高まっている現代社会では、あまり適切な表現ではありません。
こういった意図しない差別的表現を避けるために、『ポリティカルコレクトネス』が重要視されています。ポリティカルコレクトネスは『政治的公平性』を意味する用語で、中立的で無難な表現をするために、次のように言葉を置き換えることです。
ポリティカルコレクトネスは『言葉狩り』だという根強い否定論もあります。しかし、ライティングは小説のような芸術とは異なりビジネスなので、できるだけ中立的で無難な表現を心掛ける方が良いでしょう。
文章の質を高めるテクニックには様々なものがありますが、最終的にはクライアントの指示に従いましょう。文体や漢字の使い方に関してクライアントから修正を求められたときは、素直に受け入れる方がキャリアのためには良好です。
キュレーションサイトなどでは崩した文章を求められることがあります。クライアントのニーズに合う文体で書くのもライターに求められる能力です。しかし、意識の高いライターにとっては、わざと稚拙な文章を書かされるのは耐えられないこともあるかもしれません。スキルアップを目指すためには、質の高いクライアントを選ぶことも大切です。
「いかがでしたか?」
……という締めで記事を終えるライターが増えていますが、「いかかでしたか?」や「いかがでしたでしょうか」という問いかけで「まとめ文」を始めるのは止めましょう。
どれだけライターが工夫しても記事は一方通行なので、読者とコミュニケーションを図ることはできません。押しつけがましい印象を与えてしまうこともあるので、読者に意見を求めるような表現は避ける方が無難です。
まとめ文には、その記事で何を説明してきたのか、要点を簡潔に記述すると良いでしょう。
今回は、ほとんどのクライアントに通用するような文章の書き方について、次のポイントを解説してきました。
ウェブライティングでは、常にSEO対策や文章の構成能力が重視されます。プラスαとして文章力を磨くと、他者とは一線を画したライターに成長して、クライアントにアピールすることができます。あらゆる点で質の高い記事を目指していきましょう。